2020年 12月 29日
題名:世論<上>
著者:W.リップマン(訳:掛川トミ子)
出版年:岩波書店
出版社:1987年
1932年に書かれた本とは思えないほど斬新。
現在を描いていると言っても過言ではないと思う。
ステレオタイプにより私たちの思考は歪められる傾向が高い。
だから、リップマンは
「人々に偏見を捨てさせ態度を変えさせるようにニュースの背景を周到に説明し、
分析することの方に、より重要な意義があると信じていた。」(pp267 解説)
社会科学者の困難やらが適切に指摘されている。
社会科学の重要性が適切に評価されていて嬉しい。
以下、メモ。
ニュースと真実は同一物ではなく、はっきりと区別されなければならない。(p214)
ジャーナリストに可能でもありまた要求されてもいる仕事は、人々の意見形成のもととなるいわゆる真実といわれるものが不確実な性格のものであることを人々に納得させること、批評と扇動によって社会科学を刺激し、おと役立つような社会事象の体系づくりをさせること、そして政治家たちを突っついてもっと目に見えるような諸制度を確立させることである。(p217)
新聞は諸制度の代役をは果たすものではない。新聞はサーチライトのようなもので、休みなく動き回りながら暗闇の中に一つまた一つとエピソードを浮かびあがらせる。(p221)
教師にできることは、人糸が自分自身の頭にもっと大量の知恵を仕込んだ上でそのような世界と取り組めるように育ててやることである。(p271)
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by sakonia73livre
| 2020-12-29 16:28
| 社会的知識