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ゴドーを待ちながら

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題名:ゴドーを待ちながら (ベスト・オブ・ベケット)
著者:サミュエル・ベケット, (訳: 安堂信也, 高橋 康也)
出版年:1990年(En attendant Godot, 1952年)
出版社:白水社

『ゴドーを待ちながら』
タイトルを知ったときから、「あ、やられた!」と思った。
その通りだった。

「本物」に接すると言葉を失う。
とにかく、1頁、1文章、1言が重い。
あーもー、素晴らしい。
いろいろなものが、ど^-でもよくなってしまう。
だから、こういうの、危険だ。

良かった、この本に出会うことができて。
いつの日か、劇を観たいものだ。
(この感動を壊さないでほしいな。)

以下、個人的メモ。

p108
ヴラジーミル(以下「ヴ」) 探していると、耳ばかり働く。
エストラゴン(以下「エ」) ほんとだ。
ヴ:それが、見つけるのに邪魔になる。
エ:その通り。
ヴ:考えるのに邪魔になる。
エ:それでも、やっぱり考える。
ヴ:いいや、そんなことはない、絶対に。
エ:そうだ、反対を言い合おう。
ヴ:絶対にない。
エ:そうかな?
ヴ:考える危険は、もうない。
エ:だったら、何も不平を言うには当たらないだろう?
ヴ:考えるってのは、必ずしも最悪の事態じゃない。
エ:そうだろう、そりゃそうだろう、だが、とにかく、それだけのことはある。
ヴ:なんだって?それだけの何があるんだよ?
エ:そうだ、お互いに質問し合おう。
ヴ:それだけのことがあるとってのは、どういう意味だい?
エ:それだけは減ってるってことだ。
ヴ:そりゃ、もちろんさ。
エ:そこでどうだ?俺たちは幸福だ、と、こう考えることにしたら?
ヴ:恐ろしいのは、もう考えてしまったということだ。
エ:だが、俺たちに、考えるなんてことがあったかな?
ヴ:じゃあ、一体、どこから来たんだ、この死骸たちは?
エ:この死骸たちは。
ヴ:それだ。
エ:そりゃあ、そうだ。
ヴ:少しは考えてしまったんだな、やっぱり。
エ:いちばん最初にはね。
ヴ:死体の山だ、死体の。
エ:見なきゃいい。
ヴ:つい見につくから。
エ:ああそうか。
ヴ:見まいとしてもな。
エ:え?
ヴ:見まいとしてもな。
エ:吾人はすべからく自然に帰るべきだ。
ヴ:そりゃもうやってみた。
エ:ああそうか。
ヴ:何もそれだって最悪の事態じゃないさ、もちろん。
エ:それて、何が?
ヴ:考えてしまったということだ。
エ:そうさ、もちろん。
ヴ:ただ、しなくてもすんだろう二ということさ。
エ:だって、仕方がないだろう?
ヴ:わかってる、わかってる。

沈黙。



p162
ポッツォ:(急に激怒して)いい加減に止めてもらおう、時間のことをなんだかんだいうのは。ばかげてとる、全く。いつだ!いつだ!ある日でいけないのかね。他の人同じようなある日、あいつは唖になった。私は盲になった。そのうち、ある日、わしたちは聾になるかもしれん。ある日、生まれた。ある日、死ぬだろう。同じある日、同じある時、それではいかんのかね?(やや重々しく)女たちは墓石にまたがってお産をする、ちょっとばかり日が輝く、そしえまた夜。それだけだ。(網を引き)前進!
by sakonia73livre | 2016-05-14 03:31 | 文学