人間の条件

題名:人間の条件e0158454_16005142.jpg
著者:ハンナ アレント、訳:志水 速雄

出版年:1994年
出版社:筑摩書房

哲学史を振り返り、
ヨーロッパの考え方が、ギリシアとキリスト教が根付いた後とは別物であることが
丁寧に説明されている。

活動(Activity)を、work, labourとactionに区別し、
その意味合いの変化と社会変容のあり方が論じられている。
分析(あるいは説明)の方法が面白い。


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# by sakonia73livre | 2018-01-24 16:01 | 西洋哲学

題名:多様性と可能性のコーカサス : 民族紛争を超えてe0158454_15145034.jpg
著者:前田弘毅(編)
出版年:2009年
出版社:北海道大学図書刊行会

チェチェンに関する知識を得るために読書を進めるにあたり、
コーカサスについても知る必要を感じ始め、
この本を手に取ってみた。

出版年が2009年と若干の古さを感じたものの、
2009年までのコーカサスの外観が、良く掴めた気がする。
各論文の濃い内容が完結にまとめられているお陰で、
この少ないページ数の論文集であるにもかかわらず、である。
効率よく勉強できた。

各章は、以下の通り。

コーカサス史の読み方 : 歴史における「辺境」と「中心」 / 前田弘毅 [執筆]
中央アジアとコーカサス : 近くて遠い隣人? / 宇山智彦 [執筆]
コーカサスをめぐる国際政治 : 求められるバランス外交 / 廣瀬陽子 [執筆]
チェチェン紛争の現在 : 野戦軍司令官からジャマーアット・アミールへ / 北川誠一 [執筆]
ダゲスタンのイスラーム : スーフィー教団間の多元主義的競争 / 松里公孝 [執筆]
特権的トポスのはじまり : コーカサス表象の原型と「他者の声」について / 中村唯史 [執筆]
舞踊とアイデンティティの多面性・流動性 : コーカサス系トルコ国民を中心に / 松本奈穂子 [執筆]




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# by sakonia73livre | 2018-01-24 15:15 | 社会的知識

題名:チェチェン民族学序説 : その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル
著者:ムサー・アフマードフ、(訳:今西昌幸、編:大富亮)
出版年:2009年
出版社:高文研

チェチェンの伝説、習慣、歴史などを
チェチェンのおじいちゃんが、孫を相手に語りかけているような、e0158454_14582685.jpg
優しいでも切ない気持ちになる本だと思った。

チェチェン人の易しくかつ高貴な雰囲気の思想的背景が垣間見られる本でもある。
「ウェスデンゲル」は、日本の武士道にも通じる精神のあり方を表す言葉らしい。


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# by sakonia73livre | 2018-01-24 14:58 | 社会的知識

題名:アッラーの花嫁たち ―なぜ「彼女」たちは“生きた爆弾”になったのか?e0158454_19103078.jpg
著者:ユリヤ・ユージック、訳:山咲 華
出版年:2005年
出版社:WAVE出版

チェチェンの女性たちが、ジハーディストとして自爆テロを実行する。
彼女たちには、そうするしかなかった。選択の余地などなかった。
それを明らかにするために、著者は自爆テロ実施者の家族や友人などをインタビューする。

著者は「20代の新鋭」ジャーナリストらしい。
若さゆえ、正義感があふれ、思い込み強すぎるせいなのか、
自分の国(=ロシア)で民族紛争やテロ行為を繰り返す「彼ら」チェチェン人を相手にしているせいか、
言葉の選び方からわかるように、攻撃的な態度がにじみ出ている。

インタビューをした人から、どうやら拒否されることが多いようなのは、
著者の高圧的な、差別的な態度のせいなのでは?と思う。

読んでいて不愉快なので、90ページまでしか読み続けられなかった。
その後のページで、著者の考え方が変わり、内容も変わるのかもしれない。
と思いつつも、読むのは断念した。

同時並行で、
ソ連時代のソ連人をれポタージュした『セカンドハンドの人々』を読んでいるが、
こちらは、著者の人々への尊敬のようなもの、少なくとも公平さが読者に伝わり、
どんどん読みたい!知りたい!という気にさせられる。

物書きには、人間力が必要である。

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# by sakonia73livre | 2018-01-19 19:11 | エッセイ・対談集

題名:チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズムe0158454_18464839.jpg
著者:富樫 耕介

出版年:2015年
出版社:明石書店

チェチェンについて下調べをしたく思い読書。
「ロシアから独立を目論み、民族紛争をした国」、
「劇場に人質をとって立て籠り自爆するなど、テロリズムの先駆け」といった理解しかなかった
読書者であるが、
本書は、背景や先行研究を丁寧に説明してくれるので、
チェチェンに関する知識が少なくとも、紛争や平和構築学の初心者であっても、十分に理解できた。

本書の目的は、
第一次紛争の終結後、平和が定着せず、第二次紛争に至ってしまった原因を明らかにすること。
両紛争間の1997年~99年マスハドフ政権に焦点を絞り、
第二次紛争を引き起こす国内外の要因を丁寧に吟味する。

また、「イスラーム化」がなぜ起こり、また、重要因子になったのかについても論じられ、
昨今の世界情勢を考える上で示唆的である。

以下、要点である箇所を引用する。

第二次紛争の発生のダイナミズムは、指導者の能力やチェチェンの伝統文化、あるいは急進的イスラームなどといったチェチェン国内のみに注目した考察(紛争要因の特定)では捉えることができず、これを理解するためには紛争全体を多角的に捉える枠組み――すなわち「二重の対立構造」の視点――が不可欠であるということを提示した点にある。「二重の対立構造」それ自体は、既存の研究でもそれなりに意識されてきたが、本書はこの構造の中でいかなるメカニズムが生じるのか、また複数の対立軸(「領域をめぐる対立」と「政府をめぐる対立」、またそれらを構成する行為主体など)がいかに交錯し、連動・共振するのかを明らかにした意義がある。このような新しい分析枠組みは、既に本書の議論の中で提示してきたように、チェチェン紛争(問題)を理解する際に時期を問わず用いることができる、有用な分析枠組みだと考えている(pp364)。

…、対立する行為主体によって自らの正当化のために用いられた急進的なイスラームが、事態の進展と共にそれぞれの行為主体によって自己目的化され、結果として名実共に争点となることで自己成就し、最終的にはチェチェンの民族独立闘争を乗っ取ったかのようにも思われる。これらの本格的検討は今後の課題だが、本書の知見は今後の作業にも含意を持つだろう(pp366)。

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# by sakonia73livre | 2018-01-19 18:47 | 社会的知識